発達障害の子どもが癇癪を起こす根本的な理由

生活ノオト

発達障害の子どもを育てていると、夕方に機嫌が悪くなって癇癪を起すことはありませんか?

普段機嫌がよい時は普通に話せばわかってくれることも、癇癪を起されると泣いたり暴れたりして、時間がたって落ち着くまでどうしようもありません。たまの癇癪であればまだよいのですが、発達障害児は日に何度も起こす場合もあり、対応に困りますよね。

なぜ、発達障害児は頻繁に癇癪を起こすのでしょうか。一般的には、イライラしているから、やりたいことができなからなどの理由が考えられますが、その前提に発達障害児特有の体の疲れがあります。調子のよい時にはできることも、疲れているとできなくてイライラしてしまうのです。発達障害児の体の疲れを引き起こす3つの理由をご説明します。

睡眠不足で疲れている

発達障害児は、睡眠不足であることが多いです。発達障害ではない子供も2000年以降睡眠不足の割合が増加傾向があり、4人に1人に睡眠障害があるともいわれています。しかし、発達障害児の場合はその倍の2人に1人が睡眠障害で困っているというデータがあるのです。

発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害と注意欠陥多動性障害に睡眠障害の割合が多く、睡眠不足による二次障害で生活に支障が出ている場合もあります。二次障害とは、意欲低下、うつ症状、食欲不振、集中力低下などが挙げられ、このために学習意欲も低下し自己肯定感が低くなる傾向もあります。

また、注意欠陥多動性障害児には日中の眠気が強いという特徴もあります。この日中の眠気はとてもやっかいで、いつ起こるかもわからず薬物療法が効きにくいという面があります。大人になってもこの症状が残ることがあり、就職した後に問題になることもあるので注意が必要です。
このように、睡眠不足がベースにあるために疲れやすく、癇癪を起こしやすいといえます。

感覚過敏で疲れている

発達障害児の特徴として、感覚過敏があります。感覚過敏とは、聴覚・感触・視覚・味覚・臭覚の感覚が敏感で、普通の人なら気にしないようなことを不快に感じることです。日光がまぶしい、音が響いて聞こえる、好き嫌いが多いというのは、多くは感覚過敏からきています。ほかにも、感覚鈍麻という症状もあります。感覚鈍麻とは5つの感覚が鈍くなっていることですが、具体的には不快感で耳や体を叩く、自分の体臭に気づかない、白い紙に印字してある文字が読めないといった症状があります。

普通の人には何でもないことが不快である生活は、かなり不便であることが想像できます。発達障害児は複数の感覚過敏を複数併せ持っていることが多く、またその感覚でずっと生きているために、なにが不快か自分でも理解ができない場合が多いです。周りからも不快である理由がわかりにくいため、対応が難しい問題となっています。

学習障害児も特有の感覚があり、黒板や教科書の文字がぐにゃぐにゃして読みにくいといった症状があるために常に神経を使っています。このように毎日の生活の中に気分が悪くなる出来事が何度も起きるので、発達障害児はぐったり疲れているのです。

制御できなくて疲れている

発達障害児は、自分で自分の体調がわからない傾向があります。自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害の場合、自分の体力以上に活動してしまうことがあります。多動であると、あちこちに興味が移りエネルギッシュに活動します。よくおしゃべりもしてどんどんアイデアが出ます。これは、脳がちょうどよいところで止められないからなのです。躁状態の人は自分の能力を超えたこともできると判断し、思いついたアイデアを実行せずにいられず結果活動を止めないために痩せていくことが多いです。注意欠陥多動性障害の多動が目立つタイプの児も躁状態に似た傾向があります。自分の体の疲れに気が付かないのです。

また、自閉症スペクトラム障害の場合、集中しすぎるという傾向があります。こちらも脳がちょうどよいところで止められないことが要因です。いつまでも同じ遊びをずっと続ける、止めるとパニックになるので親も止められないこともあります。

多動の場合も集中しすぎる場合も、自分の体力を超えた活動をしているため疲れているのです。

癇癪だけを止めようとしないで

発達障害児の癇癪は、止めようとしても止まりません。暴れたり泣いたり大声を出したり、本人も辛そうな発作のようなものです。しかし、成長するにつれて徐々に減っていきます。本人の成長過程である程度は仕方ないことでもあります。

しかし、その頻度があまりも多く対応に困っているのであれば、発達障害児の疲れのことを思い出してください。発達障害児は基本的に疲れを抱えています。発達障害でない人にはわかりにくい感覚や脳の機能の違いがあるのです。今回挙げた3点は発達障害児によって程度の軽重はありますが、どの子にも多少はある特徴です。自分の子がどの特徴が強いのかを観察し、疲れをコントロールすることが、癇癪の頻度を減らす近道です。

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